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大好きなお前に、俺の気持ちが伝わっていなくてよかった。
大好きなお前に、俺の気持ちが伝わっていなくてよかった。
同性愛者の俺と面白いソックスを履いている妹とBLが好きかもしれないユズ(と王子様だったかもしれないひーちゃん)の話。つまるところこのチョコレートはリトマス試験紙。その心臓が不細工だと決め付けるヤツは誰だ。
読解難易度:EASY
ボーイズがラブしないBLを騙った何か(BOYのうち一人はもう一人のBOYを一方的にLOVEしてはいるが)。「この想いが君に届かなくてよかった」と云う答えを導き出すだけの話。
高校時代に触れた作品の影響から、二人芝居なるものにちょっとした憧れがありまして。「保健所」というサークルの「いぬ」さんが制作したFLASHゲーム──だったとは思うのですが。
憶えているのは、高校生の男女がひょんなことから二人芝居をすることになりましたーという展開とパッケージ裏面のあらすじにあった「そもそも裏山なんてなかった」という一文くらいで。
ただ、何かいい話だったなーという余韻だけが残っているのですよ。
で、だからこそ、いつか二人芝居モノ──というより二人芝居を彷彿とさせる、何かもし舞台化したら凄い低予算で済みそうな話書きたいなーと思っていて。その結果、生まれたのが件の作品にござい。
実際、本作読み返していただけるとお分かりになるかと思うのですが、『二月十二日』にちらっとスリーショットがある以外、残りのシーン全部ツーショットかワンショットなのですよ。しかも、場面がびっくりするほど動かない。
そういう部分で、少人数芝居特有のコンパクト感と云いましょうか、もしかしたらこの世界にはこの子ら以外いないんじゃね? ほかに役者いないんじゃね? みたいな感覚を読んでる人に味わってもらえたら、案外面白いかなーって。
あと、これ読んで下さった方の大半感じたと思うのだけれど──そう、心理描写長過ぎ問題。一応云い訳しておくとこれ意図的にやっておりまして、体感『安定限界』より長めに書いてる。あの陰キャof陰キャであるキヨモリのそれよりも尺取ってる。
これに関しては、一人称小説だからこそこうならざるを得なかったところがあって。
もし自分が真島誠志郎だったら、もし自分が山田まひろだったら、作中の時間の流れって絶対ゆっくりであってほしいはずなのですよ。
マジーからしたら柚木と過ごす時間は楽しいのだけれど、やっぱりバレンタイン当日は色んな意味で来てほしくなかったはずでしょうし。
ひーちゃんにしたって柚木の隣でマカロン食べている間、思い出振り返ったり、夢を挿入してみたりと色々やっているのですけれど、アレ結局何やってるかと云うと語り手二人とも時間稼ぎをしているのですよ。この時間が、完結を迎えてほしくないから。
だから、そんなどうか終わらないでほしいという祈りめいたものが、あの長ったらしさから垣間見えていたらいいかなぁ──みたいには思った。
私、総じて一人称の青春小説心理描写だらだら書きがちなのだけれど、まあそういう意味合いが強め。
しかし、『群青マイルド&ビター』の男女、中学生にしてはわりに恋愛偏差値高くない?
まあ、比較対象『安定限界』とかいうド田舎が舞台の小説なので。潮風に育まれし高校生男女の恋愛偏差値が大分と底辺スレッスレなのは、まあ致し方なしっちゃあ致し方なし。
余談。ひーちゃんは柚木のことを思って、シェアしやすいように──正確にはシェア前提で渡しているのだと柚木が思い込むように中二の時点では偶数個のチョコを渡しているのだけれど、一年後マジーが柚木とシェアしているひーちゃんからもらったチョコは、何故か奇数個なのですよ。
ここらへんの理由はね、各自の想像に任せる。
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