キャッチコピー
悪人を中途半端に許している主人公共に告ぐ。ボッコボコにしてやらないと失礼だろーが
悪人を中途半端に許している主人公共に告ぐ。ボッコボコにしてやらないと失礼だろーが
天使や宗教関係に詳しいとキャラクターや背景の仕込みに「なるほど」と思える小説です。
「皆様、このような悲劇を語る事を何卒ご容赦下さい。」
誰に向ける訳でもなく、もはや独り言に近い。街灯の下に立つ老齢の紳士は何処からともなく1冊の本を取り出して続ける。
「これは全てに裏切られた諦めの物語であり、そして全てを取り返さんとする神との戦いの物語でもあります。そして今まさに、それは始まろうとしているのです。」
びゅうと風が吹き、紳士の持っていた本のページがばらばらと宙を舞う。この光景を目にした道行く人々は本が飛んでいるのを横目で見て、さほど気にもせずに歩みを続ける。彼らは気が付かないのだ。ここが入り組んだ路地であることを。’風が吹くはずが無い’ことを。自分たちが異常な状況下に置かれていることを。紳士はだんだんと声高に、そして興奮を抑えられぬ様に続ける。
「皆様の様な無関心な人々によって犠牲となってしまった哀れな男の悲劇をここに始めましょう!」
紳士が大雑把に手を振り下ろす。刹那、彼らは血肉の塊となり崩れ落ちる。紳士は満足そうに辺りを見渡し呟く。
「また1人、あちら側からこちら側へ、主よ。貢物は今度こそ本物であれば…」
幕は降ろされたのだ。この舞台はもう誰にも止める事は出来ない。
長編
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